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ごあいさつ 西尾瞬三・夏子 なんじゃもんじゃは、春五月雪のような白い花を咲かせます。一九九三年五月、田んぼの端に自生する樹齢二〇〇年近いこの木の名前をもらい、私たちはここ岐阜県・福岡町で劇団なんじゃもんじゃを旗揚げしました。 その時、中一の長男は成人し、長女は専門学校、次男は中一、次女は小五とそれぞれ大きくなり、当然ながら私たちも一〇歳年を重ねました。ここまでなんとかやってこれましたのは、私たちを暖かく励まし応援してくださった多くの方々のおかげと心より感謝申し上げます。 一〇周年を記念して劇団なんじゃもんじゃ上演戯曲集を出版することにしました。これまで幼稚園・保育園作品四本、一人芝居三本を生み出すことが出来ました。ひとつひとつの作品に数限りない思い出と出会い、楽しみと苦しみが、そのつど私たちを励ましてくれました。 瞬三五四歳・夏子四九歳。この先をどのように迎えていくのか……。一〇周年を節目にふじた先生の力をお借りして、新作【きずだらけのリンゴ】(二〇〇二年五月十九日初演)で新たな一歩を踏み出したいと考えています。 |
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10周年を記念して励ましのメッセージを頂きました 故しかた・しん氏 ふじたあさや氏 後藤武弥氏 |
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小さな劇団の大きなお芝居に、拍手を! しかた・しん—児童文学者 なんじゃもんじゃの花とともに、素敵なお芝居を作り続けているお二人に、心から拍手をおくります。 当り前のことですが、お芝居というのは、人が創る、すぐれて「ひと」的な芸術であります。セット、音楽、衣装、舞台を形作るさまざまは、「人……役者」があって始めて命を持つのもの。戯曲、演出にいたるまで、「人……役者」があってのものであります。まず画像のフレームがあって、音楽があって、大道具小道具から衣装があって、演出がつけた筋道があって、そのなかで辛うじて「ひと」が動く映像のドラマとは、正反対の芸術と言えます。 そうした、「人……役者」による、お芝居の原点を示してくれたのが、このなんじゃもんじゃのお芝居です。昔私はよく、テレビ的なお芝居の作り方を「きんきらきんの児童演劇」という言い方をしましたが、目の前だけの「受け」をねらった、役者不在の児童演劇や人形劇が、現代どんなに多いことか。 そんななかで、この劇団のお芝居は、すぐれて児童演劇の原点、それは子育ての原点とも通じている気がしますが、ーーそれを示すものとして、心から推薦したいのです。 |
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《なんじゃもんじゃ》十歳によせて ふじたあさや—劇・演出家 趣味で芝居をやる人がいる。 運動として芝居をやる人がいる。 職業として芝居をやる人がいる。 自己満足のために芝居をやる人がいる。 自己顕示欲を満足させるためだけに芝居をやる人がいる。 だが、《なんじゃもんじゃ》のお二人は、このどれにも当てはまらない。 はじめは趣味だったかもしれないし、ある時期は確かに運動だったと思うし、芝居を職業として成り立たせることに、一生懸命だった時期もあったようだ。 しかし、今やそれらのすべてを超越して、彼らは、生きることが芝居をやることで、芝居をやることが生きることだという域に、到達したようだ。 そう思うようになったのは、西尾瞬三と一人芝居『悔悟の記録』を作った時だった。眼の色を変えて、自分を追い込んでいる瞬三と、口惜しそうにそれを見ている夏子の、ご両人を見ていて、「あ、こいつら、生きてる。輝いている」と突然嫉妬を覚えたのだ。 だから、ぼくは彼らを信頼する。 十歳、おめでとう。 |
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劇団なんじゃもんじゃの一〇年によせて 後藤武弥—劇団うりんこ
劇団なんじゃもんじゃが旗揚げをして十年を迎えるという。子ども達やご両親との生活、子育てや農作業を通したご近所とのお付き合いなど、生活の中にずっぽりと演劇活動をいきづかせてきた俳優夫婦の十年に、心から拍手を贈りたい。 この間、何度となく芝居づくりに立ち会う機会を得てきたが、本当によく頑張ったと心底から思う。そう長くも思えない十年を感慨にふけらせるのは、その二人を見てきたからに違いない。それだけにこれからの十年、十五年先をつい想像してしまう。子ども達は当然巣立っているだろうし、農作業や周囲の風景はこれまで以上に変貌するだろう。当然二人の体力は落ちていく。しかし俳優としての円熱さはますます増していく。そうした二人が慣れ親しんだ土地でどのような芝居を創るのだろうか、と想像する。まるで自分の十年後、十五年後を考えるようにである。 十年後、十五年後の劇団なんじゃもんじゃを、二人のステージを早く見てみたいと思う。急激な変化がすすむなかで、変らないもののその価値をしっかりとステージがら見せてほしい。そのためにも二人には身体を大切にしてほしいと思う。 |
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